寝言は役に立たなかった。/真島正人
 
に、救急車を呼んでいたら、あるいはきっちりと家まで見送って、状態を確認していたら、彼は死なないですんだかもしれない。



僕は、Iさんが死んだ夜、そんなこと何も知らずに、このキーボードで、寝言は必要だというような内容の詩を書いたけど、実際には、寝言になってしまった言葉は、何の役にも立たなかったのだ。



朝起きた娘さんが見たら、冷たくなっていたということだから、夜に死んでしまったのだろう。
その間、そんなことを知らずに、すぐ近くで僕は、飲んで、しゃべって、テレビを見て、詩を書いて……としていたのだと思うと、なんともいえない気持ちになる。



また、僕にとって悔
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