寝言は役に立たなかった。/真島正人
 
らなくて、
「え? なんのこと?」
と問い返した。
想像もつかなかったのだ。
「まだ知らなかったのか」
「知らないも何も。Iさんなら昨日一緒に飲んでましたよ」
「らしいな。その後家に帰って亡くなったんだってよ」
そんなことをいわれても、ほんとうにわけがわからなかった。
僕は昨日の夜、気分が悪くなったといったIさんを見送ったし、そのとき彼はふらついた様子も無く、自転車に乗ったのだ。
「大丈夫ですか?」
と問うと、
「大丈夫」
と答えたのだ。
そもそもまだ59歳で、死ぬような歳じゃないはずだ。
二日前に、正式に僕の仕事のパートナーになってくれたところだったのだ。
今後、ゆ
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