寝言は役に立たなかった。/真島正人
った。
「ほら、ほら、早く行くぞ」
とやたらと急かした。
残り物を片付けている僕に「早く早く」と言い、トイレに行っているKさんに「なにやってるの、早く」と言った。
やたらと急かしたわりに、一度自転車で家に荷物を置きに行って、徒歩の僕たちがバーにたどり着く前に追いついて合流した。
一番に店のドアを開けたのに、僕たちがあとを着いて入ると、もうトイレに直行していた。
一度出てきて、バーボンのロックを注文して、またすぐにトイレに入ってしまった。
※
気分が悪いらしくて、心配してトイレのドア越しに声をかけるとうめき声が聞こえた。
Kさんが「吐いてるだけだろ、ほっとけほっとけ」と言っ
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