残火の迷夢/久石ソナ
青く光った矢印が
一斉に前を示し
両腕にしがみ付く怠惰な風は
酸っぱい痛みを産み落としていった。
萎んだ夜と悴んだ指先には
遠くの方から響いてくる
赤い点滅の伝言を
読み解くことはできなかった。
街灯の明かりには
私の指先を冷たくさせる何かが住み着いているのに
私にはどうしてもそれが
どんな匂いかわからない。
町の中を探しにきた月は
私に寂しさを蓄積させて
走りゆくライトの無頓着な態度にさえ
温かみを感じなければ
溶けゆく意識を止められないから
影には何も潜んでないよ、という
伝言を月へと
町の変わり果てた匂いと共に
届けにゆく。
ドアの前には疲れ
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