夜をなぞる歌/あまね
空の頂に月のない夜
まなざしは
同じようにはやってこない
待ちぼうけの子どもたちが
眠ったふりをして
息をこらすように
取り巻いて包んで
進行する世界に
オクターブごとに反響する
数限りない感情による
色違いの変奏
いちばん大きい暦に
正しく沿った方法で
ほんとうのことばを探すために
ほんとうのことばを
失くしてしまったから
新しく生まれた空白に
おおげさな名前をつけて飾った
神さまをまねたレプリカの
神さまにもっとも遠い一部分が
中心、と呼ばれたせいで
風にふれて泣く
ちいちい、と泣く
どこからともなく
どこへともなく
おろかしさ
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