きみの空/Giton
 
  .
胸にはきみの大きさの空
心に果てしない岩石の荒野
手に一把のドライフラワー
携(たずさ)え埃だらけで歩いている
  .
古びてカーキ色に日焼けした風景画の人物
天地玄黄そらどす黒く地はいつも黄色な砂嵐
地の人の建物の黄色に眼が馴れてしまったから
薄墨に蒼墨(あおずみ)で描き込まれた遠景だけが鮮やかだ
  .
天山の頂(いただき)耀かず流沙(ルサ)の流れは涸れたまま
白昼の夢遊から目覚めてみれば俺が歩いている
のはいつもの灰色の街で交通信号が鈍い色彩
  .
を投げかけているこの胸にはきみの大きさの空
心に果てしない岩石の荒野手に一把のドライ
フラワー携(たずさ)え埃だらけで歩いている俺
  .


戻る   Point(2)