きれいな眠り/阿ト理恵
あなたにはさみをいれて
いかれて
飛びでて
じゃじゃじゃじゃーん
「恋は目から入るもの」
さしも見事にゆきちがい
なじりぶって遁走かたじけなく
音楽室に飾ってある巻毛男にぽあん
石にキスするようにおあつらえむき
願わくは吉なる既知のスキマ脱力だるく
破れる数多心頭おじゃん
ふみしだかれ
飛びでて
じゃじゃじゃじゃーん
うらびれた女が女を愛する時
頭の台所に未処理の思想が泣く私は薄くなってゆくまどやかな彫心鎖骨考えあぐねたあげく不法投棄した愛たわけきった体たらく荒む血この期に及んで逆流踵返して歩度緩み火のように孤独だというあなたはカモフラージュ侮れぬ私との間は虚脱手つかずままよははにははははっと
やぶれかぶれで
飛びでて
じゃじゃじゃじゃーん
もののみごとにコケたくって
スパークしたくって
今夜の眠りこそ
きれいで
ありたく
候
(阿ト理恵大全集)
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