WE あるいは 接続の魔術/真島正人
まし方が
足りなかったのだと
思わなければならない
君は
君の先をさらに鋭く尖らせて
もっと奥へと差し込んでみろ
そうすれば
その先が発酵する
発酵とは
とても大切なことだ
僕たちを
助け
僕たちを変化させ
このような僕たちを
作り上げる
発酵がなければ
僕たちは
もっと違った生き物として
生きていただろう
※
ところで
今日は公園の
ベンチが
とても、暖かい
冬とは思えない
日差し
うとうととしていると
浮浪者まがいの
格好をした
軍隊が
やってきて
楽しそうな顔で
Molly Darlingを
奏でだした
僕が目を凝らしてじっと見ていると
彼らが手に持ったコートが
日差しに焼かれて
アイスクリームみたいに
とろけていった
彼らも
眠かったようで
楽器を
弾きながら
順次、
眠っていった
むしろ
うとうととしていた僕よりも
先に
眠りの中で、すべての別在は接続されてひとつだ
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