名前/
北野つづみ
名前がつけば安堵する
しわしわで ふにゃふにゃで
べたべたの
泣いてばかりの赤ん坊が
可愛いわが子に変身だ
名付け辞典と首っ引きで
ノートにいくつも書き出して
字画を数え 占って
若い父母は苦心する
昔々 大昔
まだ ものに名前が無かったころ
名前をつけることを
最初に思いついたのは誰なのか
知らないけれど
その誰かさんだって
ほっと溜息ついただろう
見知らぬものが見知ったものとなり
不確かが確かになって
世界のすべてがあるべき場所に
収まって
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