大宰府にて/soft_machine
先の岩にちょこんとしています。
羽根をまるまる膨らませているのは、きっと寒いから。
「ちょっちょっ…あそこ、カワセミがおるばい…梅の向こう、岩のとこ。」
「あら、まぁ本当、こんなところにねぇ…。」
「やっぱりカワセミったい…めちゃくちゃ可愛いいね。」
「ほんと、可愛い。」
「初めて見た。」
「あら、そうね、お母さんも数えるくらい」
ふっと飛び立って…カワセミが飛ぶ姿は、想像以上に美しいものでした。羽撃きの速さで流線型の躯をほとんど振らさず、滑らかな弧を描く。そして池にはり出した黒い梅の枝に止まり、首をちいさく動かします。しばらくすると向こうの茂みにまた飛び掴まって休み…ひとり雨
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