こんなにもかなしくさびしい目をした 青い犀は かつてみたことがない 霜月はじめ いや ぎりぎり瀬戸際のこの師走のおわりの 月さえ凍える しろい朝の大気に 青を纏ってめざめかけている 青い闇に浮かびあがっている 犀は もしかしたら かれの 想念なのかもしれない 青い犀 の カタチを身にまとった かれじしんの姿なのかもしれない 季節にはぐれた さびしい夏の目をして かれは どんな辻でも往還でもなくひとり 雪の原に すっくと立っている