朝の合図 /
服部 剛
毎日僕を職場まで
車で送ってくれる君は
無邪気な少女になって
窓越しに、手をふる。
門の前で振り返り
いつもは緩んだ顔を
きりっと締めて
こめかみにあてた掌を
真直ぐにして、合図する。
仕事中ふっと気が抜けそうな時
僕は左手薬指のひかりを見つめる
毎朝の君への合図を、思い出す。
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