ラビッツフット/あおば
101225
幸運の女神は猫の顔をしているのだと
いくつもの変数を宣言しながら彼はいぶかしげに首を振る
尻尾も振りたいところだが
のっぺりした尾てい骨には紛い物が縫いつけてあり
これが夕刻からのボランティア活動に必要なのだと
白い毛皮の着ぐるみの背中を目で均し
真面目な顔を取り戻し伝票を捲りながら
キィーボードに金額数字を打ち込んだりしている
ボイドの行方を辿ったりはしないのが彼のモットーで
確率論を学んだので荒唐無稽なことと
偶然の違いがよく分かっているようだ
ボイドの息子はイケメンで
ボイドの娘は器量好しの韻文使い
芝
[次のページ]
戻る 編 削 Point(5)