『しろう』-永遠未完小説-/しろう
 








第3章/前編


(非常に残念なことに永久的に劣化及び改変不可能な記録メディアは未だかつて存在したためしがない。よって前記までの文章はこの数十億年を経るうちに雲散霧消された膨大な語句およびセンテンスから、一定の偏在率を求めることにより、最も可能性の高い集積として復元を試みたものである)

それにしても、わたしたちの先祖にON/OFF、+/−のたかだか二元によって二進法を採用していた時期があるとは、驚くよりもむしろ失笑を買うというものだ。いま現在、わたしたちの演算は素粒子・レプトン(電子とかニュートリノとか言えばあなたたちもよくご存じであろう)の6種類の粒子
[次のページ]
戻る   Point(0)