ノスタルジア/ガマパックン
忘れられないものを抱きしめると
思いのほかウェットで
涙まみれに崩れて僕の服を濡らした
夕日の差し込む児童公園と
ブランコの作る影が
混じりあって溶けて
瞳からあふれ出す
ジョバンニとカムパネルラが
しきりに「オーロラだ、オーロラだ」と
はしゃいでいる横で
僕は水蒸気に乱反射する光の屈折や
その他科学で習ったたくさんの知識を頭の隅に追いやり
「あれはこの雪の大地を寒さから守る
夜のカーテンだよ」
と教えてやると
彼らの白い息が夜空に溶けて
消えてゆくのだった
一滴の涙は
夜空の外側を流れ落ち
それを観測していた科学者たちは
たくさんの流星の中で
宇宙の真下で一斉に
四葉のクローバーを探し始める
そして
暖かな胸に抱かれて
ひとりまたひとりと
泣きながら溶けていく
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