子供は身体で世界を、あなたを計り知る/明楽
父親だけではないのです
自分との繋がりを
こころのどこかで疑ってしまうのは
「おかあさんのおなかから
あなたはうまれたのよ」
あたたかい腕に抱かれながらそう聞くと
母親と自分の繋がりを
保育園児のわたしでも感覚的に理解できた
しかし
父親との繋がりはまるでわからず
そのうちに
目の前にいる父親はにせものだ
という妄想が芽生えた
どこかにいるに違いない
やさしくてかっこいい本当のお父さんが
なんてかわいいことを考えたわけではない
目の前にいるのは
本当のお父さんにそっくりなにせもので
ほんものはす巻きにされて
屋根裏に転がっているんだ
わたしとこのお父さんは繋がっていない
そう考えた
成長するにつれて妄想は影を潜め
子供が生まれる過程を学び
父親と自分との繋がりも頭で理解した
でもそんな理解の仕方をしてしまう前に
幼いわたしの妄想や疑念を力強く打ち消す
感覚的な確信を与えて欲しかったのです
お父さん
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