浪漫模様/光井 新
ちて溢れて広がった杢で御座います。
なんでも、柿の木を一万本切って、一本黒柿が出るか出ないか、そんな代物なのだそうです。そもそも柿の木自体、成長が遅く、木材として使える太さになるまでには、かなりの年月が必要になる物でして、黒柿ではなくても、供給できる数が少なく、それはそれでそれなりに、高級木材な様で御座います。加えて、柿の木というのは、乾燥させて加工をするのも難しいらしく、床柱や茶道具それに様々な家具など、多くの需要があるにも関わらず、柿の木の製品というのは、あまり作られておりません。高級木材の中の高級木材、それが黒柿で御座います。
この黒柿、遺伝子組み替え大豆がスーパーマーケットに並び、
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