金木犀と綿が舞うような/
01
薄暗い、金木犀の木の下で、花びらも煙草も燃え尽き、もう土と見分けがつかなくなっていた。もしかしたら跡形も無く彼の元へ飛んでいったのかもしれない。
僕は立ち上がり、空になった煙草の箱を、近くにあったゴミ箱へ投げ捨てた。
風が吹いて、金木犀の花が揺れたけれど、僕にはその花の香りがわからなくて、夕暮れの空を静かに舞う白い綿と、橙色した金木犀の花びらをみては、煙草の香りに君を思い出すことしかできなかった。
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