注釈/地獄のペチカ
 
 世界を漂泊して写真を撮る「藤原新也」と世界を漂泊させてしまった「ホンマタカシ」も、いずれも写真家という「見る」文化の人間である。その点に置いて「漂泊」するという言葉は「根無し草」を呼び起こし、深層との繋がりを絶とうとする表層文化への傾倒を思わせる。
汚れとともに地下水へと潜り

 おそらくこれは、扇状地、盆地をさしていると思われる。著者の故郷は盆地であったため、地理的には再び第一部の冒頭に戻ってくる。しかし、「セイネン」はかつてという冠をつけられている事から、地理的には戻ってきてはいるが、時間的な円環は認められない。また、著者の故郷を理想郷と言い表すことが多い。ユートピアとアルカディ
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