注釈/地獄のペチカ
 
いのは、引用される詩が無題であること。これは著者の「漂白されすぎた雑巾」をそのものが表現してくれるものとなる。つまり「あ」から「ん」に続く余白が表音文字であることを示す。すでに伝統的な文字体系を失った姿がここに現れる。

その狂気はまさしく覚悟であり、無意味の意味が反響する世界で、その軌跡を追い続けることに他ならない

 「人間は瞑想ではない(遁走しながらでなければ彼に平和はない)。人間は嘆願であり、戦争であり、不安であり、狂気である。(「内的体験」 ジョルジュ・バタイユ著 出口裕弘訳 平凡社ライブラリー)
僕」は語らない。語った言葉もまた、何も語らない。

 「独我論の言わんとしていることは全く正当である。ただ、それは語られるものではなく、おのずと現れてくるものなのだ」(L・ヴィトゲンシュタイン著 藤本隆志 坂井秀寿訳 法政大学出版会)


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