注釈/地獄のペチカ
いうことは存在しないことであり、存在しないということは存在することである}
「イエスの全生涯の物語は、善に対する愛が、だれも善ではありえないという洞察から生まれたことを証明しているように思われる」(「人間の条件」 ハンナ・アレント著 志水速雄訳 ちくま学芸文庫)
人間であるうる以上、行為の最中でしか、その行為を肯定することは出来ない。しかし「おかあさん」はそれが可能である。つまり、「おかあさん」は神であることを記している。そのため、「おかあさん」という登場人物はその後も姿は現さない。常に物語の登場人物の耳元にしか存在しない。「おかあさん」は囁くだけである。
{引用=形の中にあった男の世界
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