『ピアニシモ』/
あおい満月
忘れているものが思い出せない
そんな毎日が続いている
わたし以上に、
大切なものがあるような気がして
胸の奥が落ち着かない
賢明ながらも堕落した生活に終止符を打ちたい
十六夜に誓いをたてて閉じた扉を開けない朝がきても
目を開けないわたしがいるのはなんのせい
存在をなくしてしまった
わたしは静かに、
消えて逝くだろう
打ちつける雨が波打つ窓越しに
世界は雪のように白く見えない
平成二十二年十二月三日
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