悲しみが訪れた/小川麻由美
「天国へ行ったんだよ」
空気が凍てついた
父は泣き
母は泣き
私も泣いた
小さな体で16年がんばった
私は子猫の時チャチャと名付けた
みんなでチャチャと呼ぶと
家が明るくなると思った
チャチャと過ごした6年間
毎日腕枕をして見つめ合った
チャチャと別れた10年間
実家へ帰ると戯れた
覚悟はしていた
一部始終を聞いた
看取ってくれた両親
辛かっただろう
感謝している
覚悟はしていた
頭では覚悟していた
でも心では
覚悟できていなかった
16年がんばって
愛らしさで家族に
安らぎを与えてくれた
チャチャがしてくれたこと
たくさんある
その分辛い
詩の出来はどうでもいい
言葉をしたためることが
幾ばくかの
チャチャの追悼になるならば
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