season's greeting/月乃助
十二月の今宵、それは生まれる
光りを放つ発光体さながら
何かの対価としてではなく
忘れていたすべてを思い出させる核のようなものとして
すでに街は、待ちわびる螺旋の中心を軸に動き始め
ゆっくりとした鼓動を響かせながら
きらめく明かりを ちりばめる
平穏な永い眠りのその先に、今まで見据えてきたものを探し当てた
その終末点へと 留まる事を夢みて
連続する日常の偽りから
この夜と日は解放され、
慈しみに手を差し出す誰もが、我を忘れたように 足早に過ぎていく
やってきた季節の 隠された光りの奔流に身をまかせ
自ら輝きの一つとなるのを躊躇わない
厩に生まれた赤子の古
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