時間旅行/少女A
 

深緑の草むらだけが生きている
強い風が吹いた時
古い建物の2階 少年の頃のあの子が見ていた

「汚いね」澄んだ声が蘇る
「疲れたの」そんな大人になりたくなかった

まだ間に合うよ
あの子も大人になっているはず
まだこの世界にも 色の付いた部分はあるよ
それを探して歩いてみる

真っ黒で傷だらけの足
無意識で笑う叫ぶ
すぐ横では少女の頃の私が遊んでいた

「知らないの」瞳をきらきら動かして
「思い出して」麦藁帽子の中を見せる
引き戻される時間を廻る力に委ねる

昔 団地の隅で計画していた
革命を起こす日は近付いている

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