病気/猫のひたい撫でるたま子
 
だら抜け出すのが難しい沼みたいなものだった。それに嵌っていってどんどんぬるくなり、毛布が丸まって居心地が悪い布団にいるのがとても楽だった。時間どうりに飲まないと弊害を起こす薬の時間のときだけは起きて、一錠飲んだ。朝の薬の時も母が用意してくれた。それでも布団に居るのが楽だった、楽なのと同時に体がいつもみたいなスピードで動かないのが嫌だった。どうしてかあまり早くは動けない。また、頭ではこう思う。私は日雇いのバイトもこなせないのか?以前は全然大丈夫だったのに。こんな波のある体調で自立することはできるのだろうか。小さい頃に夢みた、母親に家を買ってあげるのには今ほど遠い。こんなままなら私は居なくなってしまえ
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