This Love Is Not Wrong/捨て彦
 
がとても好きだ。
「陽子さんは、僕のこといじめて楽しいのかな」
「いじめる?わたしがあんたを?何で?」
初めて陽子さんとあったのは、高校の入学式のときだ。彼女はそのときのことを一切覚えていない。
陽子さんとこうやって放課後に会うようになったのは、2年になって同じクラスになってからだ。彼女はどういう理由か分からないけど、気が向くと、いつもメールで僕を海に呼びつける。一緒に下校するということは絶対ない。友達に僕と歩いてる所を見られるのがイヤだからという理由らしい。そういうことが分かってるから、僕は、陽子さんに気負うことなく会いにいける。無関心でいて貰えるから、気がまぎれる。優しくも痛くもない、穏やかな風景だと思える。


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