This Love Is Not Wrong/捨て彦
 
。図書館の前で。夜中。」
「そうだっけ」
「夜中の二時。君に起こされて行ったのに」
「うん」
「なんで来てくれなかったの。僕電話したよね」
「うん」
「もうすぐ行くって行ったよね。何回も。電話するたびに」
「うん。ふふふ」
「なんで。」
「だって」
「……」
「面白かったんだもん」
「何が?」
「何がって、あんたがずっと待ってるところが」
「だって、来るって言うから、待ってたのに」
「アハハ、そういうの、ホントうける」
そういって、陽子さんは唐突に僕の鞄を奪い取って、海に投げ捨てた。ほとんど重量を感じさせないように鞄は落ちていった。
「ああ!何するんだよ!!」

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