虚無/小川麻由美
西日の差すベッドに横たわる
突如虚無感に襲われ
足元に広大な奈落の
淵にかろうじてゆらゆらと
立つ私が実在する
現実ではないと思いたい
そんな思いとはうらはらに
奈落はとてつもない黒さで
まるで手招きをしているようだ
目をつむったところで
瞼にも黒色が限りなく広がる
虚無感の空を思い知らされる
この虚しい感覚の出所を
探しても無駄な気がした
私が本当にここに居るのか
それさえも定かではない
あらゆる思考を持ち寄れば
虚無感にさいなまれる事が
なくなるのであろうか
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