草原にて /
服部 剛
草原の何処に埋もれたかもわからない
薄荷草(はっかそう)の薫りを吸い込めば
いつしか血の気は引いて来て
遠い過日に、栗毛の少女が立っている
もし、あなたがたった一人
追想の草原に立ち
目の前の情景を
霞の幕が覆う時
こちらに歩いて来る
幻のひとは、誰でしょう?
草原を、はしゃいで駆けた
あの頃
地上は僕等の、天国でした。
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