死者の息 /服部 剛
 
(ひとりの人の裏側に 
 かけがえのない死者が  
 音の無い 
 息をしている・・・ ) 

    * 

 浜に満ちては引いてゆく 
 海の呼吸の淵を歩む   
 痩せた青年画家の 
 脈は、打ち・・・ 

 立ち止まり、見つめる 
 水平線の彼方から 
 こちらへ歩み寄る 
 透き通った姿の師は 

 すうっと 
 青年の体に 
 吸い込まれた 







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