防波堤/少女A
気付いたらまた この町へ来ていた
大人になるまで待てなかった
あの人のにおいは 海のにおい
私には いつも特別笑ってくれた
防波堤の1番端っこ 今日も誰も居なかった
いつもの様に あの人と居るみたいに座っていた
何時間もきらめく水面を見ていた
ちょっとでも 不思議な瞬間を探していた
例えば
記憶の走馬灯 水平線の彼方の透明なあの人
白昼夢の一部 そんな瞬間を探していた
まだかな 来ないな 太陽は逃げない
気付いたらまたこの町へ来ていた
少女のままで 悲しくないよ
あの人は 大人の彼女と 遠くの空へ
悔しくて 寂しくて しょっぱくて たまらない
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