夕暮れが近づく、藍に溺れる。/ala
 
細くサラサラとした髪に触れると、長い睫毛に縁取られた瞳がゆっくりと開いてゆく。

涙に潤った瞳がぼんやりと遠くを眺めたあと、確認をするようにこちらを見つめた。

そして擦れた声で寒いと訴えると、まだ寝ぼけているのか腕を首に絡ませ身体を擦りよせてくる。

夜の外気に晒された彼女の肩は酷く冷えていて、ベッドの下で絡まった足の温かさがまるで嘘のようだった。

背中に腕を回し隙間の無いように身体を引き寄せれば、首筋に唇を寄せて口づける。

その瞬間強くなる、甘い、彼女の花の様な香りと青臭い性の匂い。

堪え切れずに舌先で肌をなぞれば、腹の奥がずくりと疼くのを感じて目を細めた。

『抱きたい』

やり過ごせなくなった欲望に熱い吐息を吐けば、安息の終わりを知らせる様に俺は彼女の唇を奪った。




end.
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