詩を読む3/地獄のペチカ
スサンデー、サクラスターオー、マヤノトップガンの三頭の名が実況アナウンスから叫び続ける。彼らの名は他の競走馬よりも多くの記憶に残るだろう。けれど、名も知れぬ競走馬たちの名が、同じように誰かの記憶に刻み付けられている。生産者の、調教師の記憶に。その名が呼ばれる限り、死は訪れることはない。「セイ」はこの世界に充ちている。
まんまるなお顔を ますますふくらませて
あなたは怒るけれど
おかあさんは「あっちゅ」っていう
よび名、すきだな
へい、「あっちゅ」。
世の中のすべての愛は、欠落の中にしか生まれないのだよ。
漂白されていく「セイ」の過程の中で「凹凸をすり減らし」ながら、
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