詩を読む3/地獄のペチカ
 
ゅ」は兄に与えられた名とは違い、どうやら自分に与えられた名が不服らしいが、どうやら「おかあさん」は気に入っている。自分の理想と現実は異なるのだろう。だが、その違いこそが「おかあさん」が好きな一部になる。それを当事者が知ることはできない。

 「セイネン」が名をすて、意味から脱却しようとした時、引きとめたものは何か。それは「セイ」の音だった。「セイ」の音は「カラカラ」と虚しく響いたかもしれない。だが、「セイネン」はその音の中で「ダク」とした音を聞く。それは澱みなのだろうと思う。おそらく「濁」だ。
 また、「僕」は重力に引き摺られて生きようと誓う。意味を求めるのだ。その意味は「僕」を研磨していく
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