酔歌 - 4 / ****'04/小野 一縷
 

瞳孔の暗黒の中に 太陽が一粒落ちて 沈んでゆく

狂気へと たそがれる 一筋の緊迫した神経
暗闇にもたれて 電磁波の凶音を 非難場所の平原
音符が草々と香り 鎖雨と ひっそりと 通じ合い 
囁き合う和音が木霊となって還って 輪唱される旋律は
闇の密度を軽々しく 揺すってみせる
闇夜に酔った者が 夢の薄い一枚ずつを 綴じれば
優雅に巻きつく風の温さとともに 一粒 一粒
粉雪の羽根のような冷たさで そよいでくる

背の髄と背の肉を降ってゆく オウロラ
豊かな音諧を従えて 遠いチベタンの灰黒い山羊を
黄金の角笛と銀の葦の枝で 微風と追いたて
蒼い山を一つ なだらかに 波に
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