雨の奢り/月乃助
さかな色の、光が
夜の道を跳ねる
記憶にふる 蒼い雨の想い
街灯の光りは、やすらぎの
七色(にじ)を生むこともない孤独に満ち
つめたい 明かりを揺らす
力尽き 腐植し始めた黄葉に
訪れる追憶は、
…雨の、せいなのですね
枯れ葉をうつ雨音に耳を澄ませば
海のむこうに生きる人
君はどうしているのですか
奇跡が起こるのをまっていた
やわらかな運命を せつなく夢見た頃
あこがれを見上げては、手を伸ばした日
人の間で不器用に振舞うことも
飲み込んだ声を張り上げることも
なんでもなかった
二人の
数えたりない夜
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