交錯詩「月」 フライハイ/森川 茂/within
 
交錯詩「月」 フライハイ/森川 茂

       奇数行:フライハイ
       偶数行:森川 茂

{引用=
眠られぬ夜 見上げる空

自然なんてさして美しくもない、と

歪な形に鈍く光るその衛星

吐き捨てる白く映る影がひとつ

有史以前から其処にあって

まるでアザのように

わたし達の星の周りを公転し輝き続けた

闇に光る滴のように

陽の光を受けながら

誘い、狂わせる真夜中の祝祭は

この星で起きた愚かな戦いや殺戮の歴史を

夜灯を持った白むくの狐の嫁入り

何も言わずにただじっと見つめ続けてきた

泥沼のぬかるみを掻
[次のページ]
戻る   Point(6)