黒い目覚まし時計/服部 剛
 
僕の黒い目覚まし時計は、いつも一緒。 

実家でベルを鳴らし、寝ぼけ眼の僕を起こす時も 
職場の昼休みの休憩室から、身を起こす時も 
終電に乗れず、ネットカフェの個室で丸まった時も 
一人旅の宿で、包まっていた布団の足元にも
結婚してから住む家で、深夜にふと、目が覚めた時も 

僕の笑いと涙の日々の 
全てを知っているように 
いつも黙って、ちくたくと 
日々の時間を、刻んでくれる 

安かったのに 
何故だかずっと、壊れない 
頑丈な、僕の友達 

最近、休日になる度に 
(いつも、ありがとう・・・)と 
神棚に黒い時計を置いてから 
僕は妻と、外へ出かける。 







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