残照 / ****'98 '01改編/小野 一縷
 
午後2時43分の光
とろけた白い蝋 
傷だらけのソファー 肘掛の隙間に詰まった 
粉っぽい埃に染み込んでゆく


強姦されたんだ ぼくは自分に
犯されたんだ 俺はぼくに
やり終えた奴が
こっちの虚ろな視線を気にしながら
いちもつをしまい込んで 雑踏へと 消えていった

いかさまなしの熱っぽい情事の後
路地裏  ざらつく黒い泥
思いの外 刺激的だった 強姦の至福と絶望を
冷たさの中  何度も噛み締めている

そんな午後の陽射しに 融け出した蝋燭

セックスにもマスターベーションにも
とっくに ぼくは 飽きていた
ただ なんとなくヒマだから やっていた

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