黄昏の比率 / ****'01/小野 一縷
 

西の青いカーテンには赤く
南の赤いカーテンには青く
風を糧に立ち昇る白い炎が染まりゆく
窓辺に徐々に映る屋根や壁は熱に揺らいで
立ち昇る蜃気楼の輝きに眠りながら焼かれ続けた眼は
夢の終りにひりひり煙い灰色の朝を迎えるだろう



見つけた
打ち上げられたばかりのオウム貝の渦巻の奥に眠る願いごとの秘密を
貧血めいたうつつの中に

感じる
貝の紺色の体液の色濃い闇に包まれて
隠されて秘密に仕立て上げられた戯言が
昼夜を交互に潜り行く戸惑いをも飲み込んで

見える 聞こえる
乾ききって鼓膜のように薄くなった
うず巻の中心を貫いてゆく
数種の速さの風と 数種の
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