フランダース/月乃助
 
聞こうとして
揺れる 一面の花を見据える


人を無口にする美しさの
意味など分かりようもないのに
気まぐれな 海鳥の鳴き声に
命の重さを測りながら
くだらない期待に
自分をだますように
目を閉じては 幼子の夢のような
つぶやきに触れる


この世に 数え切れぬほどの 
人の命をかけるほどの
人を殺めるほどの 
許される理由(わけ)を探しながら


無力という罪をくり返し
姿ばかり幻の一人になった顔をして
ひとり意地をはって 花たちの
話に耳を傾ける





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