フランダース/月乃助
 
赤く染まる
芥子の花が咲き
乱れる


どこまでも続く
白い墓標の列
海鳴りの
やむことを知らぬ町


忘れようとしても
消え去らぬ 戦跡(きずあと)


頭(こうべ)を垂れ
十字架の色に報いようと
悼みを詩(うた)う


海風に鐘の音をのせ
固く結んだ手の先から ながれる
届かぬ涙の冷たさに気づきながら
一途に祈りを込めて、


時代が違うと
見ぬふりをしても
命を落とした兵士達の無残な
海辺に残された足跡は
消えずに、



隙間をみたすこともできないまま
静かに、静か過ぎるほどの
消え入るような声を聞こ
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