中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
 
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 君と僕との付き合いは僕が君の存在を知った直後に始まった。一ヶ月に一度、僕はまるでオープンしたばかりのような清潔感が溢れる、ある広い書店の文芸誌コーナーで片っ端から本を読み漁る。書店は既に閉店してるが、文芸誌コーナーの上の天井にだけ電灯が点いている。しかしどうやってこの店内に忍び込んできたのかいつも記憶が無い。
 暫くすると、いつものように君が足音を立てて此方にやって来る。君は僕よりも背が低く、童顔で、遠くから見ると子供のようだ。外見はまるで年下のようだが、僕は君に兄に対するような親近感を持っ
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