中編小説 文芸誌ジョイントオーナーシップ・スペース 作 丸山 雅史/時間が蕩けるアインシュタイン
 
君に向けて、じっと見つめていた。
 暫くそのまま時間はゆっくり流れていった。
「文芸誌コーナーに戻ろうか」
 君は無理をして作り笑いを浮かべ(そんな一連の動作も、僕と君の中では障壁が無くなっていた。ただし、君から僕に向けての本心のドアが開いているだけでのことであって、?僕から君への本心のドアは?開かれていなかった)、君と僕は並んで階段を降りた。

 夜空が消滅しつつあった。君は外の景色を眺めた。
「あと少ししたら夜が明けるね」
 数々の文芸誌に交じって、僕の小説が片隅に置いてあった。
「さっきの話の続きだけど」
 君はフロアーに胡座を掻いて再び話し始めた。
「インディーズデビュ
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