そこらへんにいくらでもいる人/豊島ケイトウ
と一人うなずく。いつか来ると思っていたのだ。だって私にはぴったりだもの。
翌日、友人に認定書が届いたと報告すると、たちまち彼女の声が親愛を帯びた。そう、あんたにもやっと来たのね、よかったじゃない、全然落ち込む必要はないわ、結局普通が一番よね!――彼女は三年前、すでにもらっているのだった。別に落ち込んでなんかいないよ、と返事して、私は電話を切った。そのままソファに寝転ぶ。普通が一番、ねえ。ほかの友人知人も何人かもらっていて、みんな最初は嫌がっていた。私は今回、そこらへんにいくらでもいる人に認められてほっとしている。まだ先になるだろうが、そこらへんにいくらでもいる人々の町にも行ってみたい。正式にそこの一員になって暮らしてみたい。つまらないだろうか。でも、つまらなくても私は平気だ。全然、まったく、平気なのだ。
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