詩を読む/地獄のペチカ
 
き放たれたはずの「セイネン」は床に腰を下ろし、感触を知る。だが、やはり「セイネン」が見つけたものはまたしても音だった。
 「カラカラ」と音を立てる、「セイ」の「オウカ」。「セイ」のセイにしようと「セイネン」は試みる。「セイネン」は「セイ」の過程にこそ、「セイ」がいるのではないか、と思う。

 漂白される世界を漂泊するものたち。極限まで漂白された雑巾を光にあてる。雑巾の繊維は細く削り取られ、すでに光を透過するほどだ。削り落とされた雑巾の繊維は、汚れとともに地下水へと潜り、海へ流れ、気化される。冬になる。真っ黒な雲が、真っ白な雪を「ゴウゴウ」と降らせる。ストーブの前、寒さに震えながら冷たい台所の床で本を読んでいる。柔らかい「ヒコウセキ」のようなサツマイモの繊維を歯の間から抜き出す。目を閉じる。「ヒカリサス」まぶた。
 輪郭を失った「セイネン」は、削り落とされた雑巾の繊維、汚れの付着した地下水を見つける。ただ、「セイネン」はその時、置き去りにされた時間も見つけなければならない。「流れ」を直視し、「ダク」を意味へと返還させなければならない。「セイネン」はもはや「いい年」なのだ。
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