宇宙から始まる朝/天野茂典
 
 


  窓をあけると朝だった
  もう3時から起きているというのに
  分からなかった
  朝はカマキリが月に噛みつく時だ
  秘密の儀式はぼくしか知らない
  ぼくはようやく
  東大講義ー人間の現在
  『脳を鍛える』を読み終わったばかりだ
  思弁哲学を拒否し
  文学青年を疎み(うと)
  科学的実証主義に与した
  知性の詳細な講義録だった
  東大生が子供のように扱われている
  知ることの欲望
  調べることの快感
  さらに知性を文章化することの快楽
  ピンクの風船はあがらないが
  つきつめて知の真相に迫る迫力は凄い
  霜の
[次のページ]
戻る   Point(1)