窓に浮かぶ休日/番田
たら、言葉の神様という人間を拝まずにいられなくなるわけだ。たぶんそんなことはありえないだろうけれど。
夕べ私は友人とカラオケに行ってきた。彼はアニソンを選び、私はブルース系の曲を選んだ。その選択によって白と黒とが空間の中で混じり合わずに二つの世界を作っているように思われた。彼はアニソンしか歌えなかったが、私はアニソンを歌うことができた。しかし私はアニソンは好みではなかった。緊迫した選択は後半まで続いた。そのとき別の部屋からアニソンを歌う人間たちの大きな声がぼんやりと聞こえてきた。彼はそちらの部屋に興味を示した。もし私の他にいたとする二人の人間がアニソンを歌うであろう人間だったとしたら、私はそちらに流れるほかなくなるのだろう。私は始発の電車に乗り、流れ続ける濁った緑色の田んぼの風景と、何色だとも言えないようなこの国の空の色を見つめていた。
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