蜻蛉/光井 新
なぁ、うちってあんたにとってお荷物なん? なんてもう言わん。せやけど口にしぃひんだけで、ほんまはいつもそんな事ばっか考えてまうねん。同情ちゃうのはわかってるよ。でもなぁ、うんとなぁ、愛がわからんねん。ようわからんと歌っててん。愛がわからんかったから歌っててん。それっぽく聞こえるようにそれっぽく歌っとけば、それっぽくわかりそうやんかぁ? 病気やな、うちほんまもんの病人や。もちろんうちはあんたんことめっちゃすっきゃねん。けどぉ、あんたはうちのどこが好きなん? あんたはうちのこと尊敬してる言うけれど、歌歌わんくなったうちのどこ尊敬してるん?
うちはあんたの優しいとこ尊敬してるんよ。せやかてちょっと
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)